今年も塔をゆるりと読んでいきます。
塔2022年1月号より
スフマート と子に言いかけてやめにけり光は説明するものにあらず
(永田紅)
汚さねば生きていけないつたなさの 神話のような朝焼けに会う
(大引幾子)
マリーゴールド、サルビアいまだ咲きをれば物を思ふは明日にしよう
(加藤和子)
柿の実の朱きを越えて渓深く見上げし空の底見えぬ青
(大久保明)
うつくしきディスタンシングどこまでも晩夏の空を鳥かへりゆく
(広瀬明子)
読み終えて読書灯をけしたれば闇にとけゆくうす闇の美し
(岡山あずみ)
ずつと息を止めてゐるしかもあの日から五年が過ぐる バラの前に佇つ
(向井ゆき子)
ものがたりだらけの街で生きてきた ぼくらのための虚構をください
(宮本背水)
表紙が変わりましたね
塔の表紙の印象ががらっと変わったと思っています。
年初なので、今年もみなさまのご健詠をお祈りします。