塔2021年3月号を読む

お待たせしました。
震災の話に複雑な思いを抱えつつ読みました。

塔2021年3月号より

さくさくと野菜を咀嚼する音が似たり亡き人の息子であれば
(前田康子)

夕暮れはパイプラインの隙間から褐色玉の月が見ている
(紺屋四郎)

控えめに柏手を打つわれの背を二羽の烏が見下ろしている
(山西直子)

文字のない絵本のなかを降りはじめひと夜しずかに雪は降りつぐ
(福西直美)

父母を歌う陽水の声「人生が二度あれば」ひえびえと歌い切る
(朝井さとる)

雪の朝のコーンポタージュこの地下に水の流れのひとすじがある
(荻原伸)

「ここ全部出して。」とわれらを睨みゐる義母のふるふるふるへる怒り
(岡本伸香)

マウスの形を子猫はねずみと思ふのか帰宅するたび移動してをり 
(福井まゆみ)

街角のTSUTAYAにハウツー本ばかり並んで孤独な年末が来る
(はなきりんかげろう)

初雪の空想上の名とばかり思いきし世の雪虫に逢う
(川俣水雪)

高らかにトーチを掲げるようにしてスマートフォンに空、鰯雲
(丸山恵子)

次の学校の内定承諾サインして十三日の金曜日と気づく
(塩原礼)

明日の朝会いにゆきます透明な不眠の羊たちといっしょに
(田村穂隆)

白に刷く遠空雲にまじりたし小骨のごとき抱ぎてあれば
(深澤宙)

旧かな素敵ですよね

わたしが詠むとなんか変になってしまうので旧かな文語は避けてるんですが。
いつか挑戦してみたいところです。