もう年の瀬ですが……。
大変お待たせしました。
塔2020年11月号より
午後七時まだボール追う少年ら上弦の月見え隠れいる
(酒井万奈)
無花果も蟬もゴーヤカーテンも去年にそっくり 真夏を歩く
(藤田千鶴)
夜の風はいかなる他者か羽化了へていまだその翅濡れゐるものに
(竹下文子)
短い夢を見てゐたのだらう累累と月下の森に蝉の腹あり
(千名民時)
日に六回上を向くなり目薬のきらめく湖(うみ)をただただ見つめ
(しん子)
夕ぐれの蜩の声こんなにもやさしく聞きて花に水やる
(杉崎康代)
萎れたるアジサイの首に近づけておほきな鋏をひらいてとぢる
(一宮奈生)
その人のことは訃報で知りました。無風の夜のトラックの音
(田村穂隆)
梅雨の雲ゆつくり動きときどきに雲間を開き薄日をもらす
(内藤久仁茂)
うつくしいものを集めたきみの眼のその輝きがすこしむなしい
(宮本背水)
かさぶたを剥がして傷をつくること それがわたしの安楽でもある
(音無早矢)
別件ですが
PHP、この環境でも動くはずなんですがね……。
なぜ動かない……。