塔2020年3月号を読む

まだ我が家に4月号は塔着してないので、ぎりぎりセーフです。
言い訳が苦しいですね……。

塔2020年3月号より

羽根枕に耳をうづめて聴きてをり転調多き霜月の雨
(栗木京子)

ふいに指冷たくなりて名を呼んだ声が届いていない予感に
(江戸雪)

人魚にはなれないだろうかきらきらと夜のプールに泳ぐペディキュア
(大森千里)

写されし二十歳のわれの瞳にはカメラ構へし父の影あり
(入部英明)

まばたきはいくつかあってその度に黒い睫毛が一緒にうごく
(宇梶晶子)

ふた親のともに死に目に会へざるを思ひて夜の爪を切りをり
(潔ゆみこ)

正しくて真っ直ぐなみちのようにミシンの跡もこうでありたい
(安倍光恵)

飲もうとした水をそなたも飲みたかったのかコップに溺れた虫の名知らず
(宮本華)

空なれば重さ半ばの牛乳瓶積みて帰れば冬の日遅き
(藤原明朗)

昏き月清けき月と顔を持つ月は気持ちのリトマス試験紙
(みずおち豊)

運針はぎこちなけれど熱中しエプロンを縫ふ細き指先
(新井蜜)

ライターが私の髪を燃やすのを君の視点で見ていたかった
(多田なの)

歳月は蜂蜜色にかがやいて死のはうへ死のはうへわたしをはこぶ
(千葉優作)

下手から出てきて上手へとはける間のおよそ二分の踊り
(吉田恭大)

触れるたび遠く感じる液晶をいちまい隔てたひとのことばは
(toron*)

平易なことばで

今月はわりとじっくり読めた方だと思います。
しかし名前って難しいですね……。